再び、光が差す-again-〈下〉
「菜穂が襲われそうになった時、助けてくれたって聞きました。終始傷つけるつもりは無いって言ってたことも菜穂から聞いてます」


今度は、菜穂から一部始終を聞いていた幸人が口を開いた。


「正直俺は腹が立ってるけど、許す許さないを決めるのは俺では無くて、菜穂と綺月ちゃんだと思います。俺は杏樹さんの謝罪を受け入れますけど、二人を傷つけたことをこれから先もずっと悔い続けて下さい」


甘えなんて一切含まれない厳しい発言を幸人が言うと、より言葉に締まりが出る。

杏樹は幸人の辛辣な言葉に苦い顔をする。


「二人にもちゃんと謝る。
そのために今日は来たから」


杏樹は誠心誠意にみんなと向き合おうとしていた。

そんな杏樹の姿を見て、つい口から本音を零す。


「もっと早く、向き合えば良かった」


綺月の言う通り、誰かが傷ついてからでは遅かった。

もっと早くちゃんと向き合っていれば、杏樹が馬鹿なことをするのを止められたのに。
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