再び、光が差す-again-〈下〉
「あの子運動神経は良かったから喧嘩もそれなりに強いみたいで、恥ずかしい話当時は威張ってたのよ」

「そうそう!俺最強!みたいな時に、カオルの一発で気絶したんだよね!あれ聞いた時は笑い転げたなぁ」


菜穂は思い出したのか腹を抱えて笑う。

久しぶりの菜穂の笑顔に少しだけホッとする。


「それでいつの間にかカオルに懐いて、いつの間にか仲良くなってたんだよね」

「カオルくんと仲良くなってから、家にもちゃんと帰って来てくれるようになったのよね」

「カオルが金無いくせに遊び回るな、家に帰って母ちゃんの飯食え!って説教されたみたいで、それで大人しく帰るところはせっきの良いところですよね」

「あの子根は真面目の良い子だから」


雪希の話をする二人は本当に楽しそうだった。

いつまでも暗い顔をしてたって状況は変わらない。

ならば、目を覚ました時重い空気に雪希が気まずくならないように笑顔で居なきゃ駄目だ。


「あと前にせっきが…」


次から次へと出てくる雪希の面白い話題に、気付くと廊下にまで笑い声が響き渡るほどの盛り上がりになっていた。
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