再び、光が差す-again-〈下〉
「そろそろ帰んなくていいのか?」


頬にキスでもされるんじゃないかと身構えたが、カオルはただ帰りを心配して聞いてきただけだった。

変に身構えたことも、それだけで耳を赤らめている自分にも恥ずかしくなり、カオルの顔を手で押し返す。

そんだけ伝えるのになんで耳元まで近付くのよ!と内心怒りながら私は立ち上がる。


「私はそろそろ帰ります!
はい、カオル送って行って」

「へいへい。
てか、なんでそんな喧嘩口調なんだよ」

「誰かさんが変なことするからでしょ!」

「変なことってなんだよ」

「いちいち突っ込んで来ないでよ」

「なんでそんな怒ってんだよ」


私はカオルと口喧嘩をしながら部屋を出て行った。

扉を閉めてもまだ続く私達の口喧嘩にみんなの笑い声が部屋から聞こえた気がした。
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