再び、光が差す-again-〈下〉
私はカオルに背を向けると、小さな声で、でもカオルに聞こえる声で本音を伝える。


「おかげで私は少し欲求不満です」


少し間が開いて、カオルが長すぎるため息を吐きながらその場にしゃがみ込んだ。

私はその反応に驚いて振り返ると、カオルは座ったまま私の手を握る。


「純情無垢な綺月がどこでそんな言葉覚えたんだよ」


カオルはなんとも言い難い複雑な顔で私を見る。


「あのさ」


私もカオルと同様しゃがみ込んで目線を合わせてくる。


「私、そんな純情無垢じゃないと思う。
まぁ初めてのことで分からないし、怖いからずっと逃げてきたけど、でももうカオルが触れたいなら拒絶したりしない」


私は恥ずかしくてカオルの目が見れず、あちこちキョロキョロして泳がせながら話す。
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