再び、光が差す-again-〈下〉
私は笑いながらスピーカーに切り替えて、写真で送ってくれた問題を確かめる。


「待ってね…あーここはね…」


休憩がてら奈都の分からない問題を電話越しで教える。

家庭教師期間が終わってもこうやって頼られるのは悪い気はしない。

寧ろ嬉しい。

私はひと通り奈都の分からない問題を教え終わると、電話越しから「ただいま」という声が聞こえてくる。


「あ、お兄帰ってきた!代わろっか?」

「え、いいよ」

「代わる代わる、お兄!」


奈都はバタバタと足音を立てながら、今帰ってきたカオルの耳に携帯を当てる。


「は?なに?誰?」


カオルはわけも分からず奈都の携帯を受け取る。


「おかえり、カオル」


ちょっとだけ懐かしいカオルの声に、私は凄く会いたい衝動に駆られながら、帰ってきたカオルに伝えた。
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