再び、光が差す-again-〈下〉
「そんなの多すぎて一生かかるよ」


私はカオルの顔に思わず笑みを零しながら、"一生"と軽くボケてみせる。


「一生かけて連れてってやるよ」

「…えっ」


驚いてカオルの顔を見ると、大真面目な顔をしていて更に驚く。

ボケたつもりだったのに、まさかの大真面目に返されて私は言葉を詰まらせる。


「綺月?」


そんな私を見て、カオルは首を傾げた。

カオルは、自分の放った台詞が世間的にはプロポーズみたいなことを言っていることに気付いてないようだった。

それなのに私だけ過剰に反応してしまい、余計に恥ずかしくなる。


「おい、その顔やめろ」

「え?」

「押し倒したくなるだろ」


久しぶりに甘い声で囁かれ、案の定顔がみるみる赤くなる。
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