再び、光が差す-again-〈下〉
「少し茶化しただけでこんな反応するなら、瞑想もクソもねぇな」とカオルはボヤきながら、枕を簡単に手に収める。


「身体は大丈夫か?」

「…余裕です」

「じゃあもう一回する?」


まだまだ余裕で、なんなら物足りなそうな顔でカオルはジリジリと距離を詰めながら聞いてくる。


「なっ!盛んな、サル!」

「それは猿に失礼だろ」


カオルはあわあわしている私を抱き締めると、背中をポンポンと優しく叩く。

その温かい体温にちょっと落ち着いて、カオルの背中に腕を回す。


「…カオル、好き」

「あ───、もう一回ヤりてぇ〜」


つい本音を零すと、私はカオルから離れ、目を細めながら睨む。


「……また今度ね」


そう言って私はカオルの頬にキスをすると、逃げるようにカオルの部屋から出て行く。

カオルはキスされた頬に触れながら、少しだけフリーズする。

我に返ってから、勢いよく立ち上がる。


「今度っていつだよ、明日?明後日?」

「盛るな!近付くな!」

「何でだよ、もっとイチャつこうぜ」

「もう充分したって、それより服着て!服!」


私は上裸のカオルから逃げながら、狭い家の中で走り回った。

そんなことしている間に日が暮れ、幸せな一時はあっという間に過ぎ去り、渋々カオルは私を家まで送り届ける。


「ずっと腕の中に居てくれたらいいのに」


私が家に入った後、カオルは私の匂いを思い出しながら、名残惜しそうに小さく呟いた声はもちろん私には聞こえていなかった。
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