再び、光が差す-again-〈下〉
「もう、私に期待はしないってこと?
お母さんの求める大学には私なんかが受からないって思ってるの?」


自分で口にしたのに、悲しくなり呼吸が浅くなる。

そんな私を見て、母がゆっくりと振り返る。


「違う」


母は私に近付いて、確かにそう口にした。


「綺月の人生は綺月だけのものなんでしょ?
もう、お母さんは綺月に自分の欲を強要したりしない。綺月の生きたいように生きなさい」


母は驚くほどに優しい口調で、私の肩に触れる。


「お母さんは、綺月に期待してる、ずっと。
綺月が私みたいな大人じゃなくて、立派な大人になれるように期待してるわ」


前は母の期待が重かったけど、今はその重さが心地良いと思ってしまった。

母の言葉はいつだって、私の迷っているものを明確にしてくれる。

私は手に持っているパンフレットを見て、そして決心したように口を開く。
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