再び、光が差す-again-〈下〉
「先生になりたいの」


私は母の目を真っ直ぐに見つめる。


「私は勉強しか自慢できることが無かったけど、でも勉強だけは私が唯一武器にできるものだから。
私はずっと勉強していたい、それでそれを教えていけるような先生になりたい」


口に出してしまうと、ずっと引っかかっていたモヤモヤはすぐに消し去った。

母は私の強い目を見て、優しく笑った。


「うん、期待してる」


そう言うと母は私に背を向けて部屋を出ようとする。

そんな母の背中にもう一言加えた。


「お母さんみたいな大人になるから」


母は一瞬動きを止めるが、すぐに部屋を出て行った。

私なんかって言わないで。

私は立派な先生になって、お母さんの娘だからって胸を張れるような大人になって見せるから。

いつもみたいに堂々と立っていて。

私は両頬を自分で叩き、喝を入れるとまた勉強に向かった。
< 264 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop