再び、光が差す-again-〈下〉
「…家はギリある、バイトするにも住所必要だから、でもその家で眠ったことはない」

「ご両親は?」

「…知らね、どこかにいる」

「…そう」


母は顔色一つ変えずに、海斗にいくつか質問し、海斗も母と同様真顔で淡々と答えた。

海斗の家の事なんて今まで聞いたことはなかった。

そもそも自分のことを話さないから、私自身も踏み込んではいけないのだと触れずにいた。

どうするのかと母の顔色を伺っていると、母は冷蔵庫から野菜や肉を取り出す。


「とりあえず今日のところは泊めてあげなさい、部屋は美月の部屋が空いているから」

「えっ!いいの!?」

「帰る気はないみたいだし仕方無いでしょ」


母は渋々といった様子で、海斗を泊めてあげることを許してくれた。

さっそく荷物を持った海斗を連れて、お姉ちゃんの部屋の扉を開ける。


「色々探らないでよ」

「分かってるわ、そんな趣味ねぇから」


私はそれでも疑いの目を向けると、海斗は「うぜぇ!」と一喝した。
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