再び、光が差す-again-〈下〉
高校に入学すると同時に奈都は携帯を買ってもらい、毎日のようにメッセージで連絡を取り合っていた。

絵文字が多めの奈都のメッセージは、見れば見るほど元気を貰えた。

返信を返してから数分後に今度はカオルから着信が入る。


「もしもし」


私が電話に出ると、カオルがいつものようにぶっきらぼうに返す。

そして唐突に聞いてくる。


「明日」


これは、明日会えるか?という意味だ。


「明日は菜穂と遊ぶから、明後日なら行けるけど」

「じゃあ明日と明後日な」

「え?いやいや私の話聞いてた?」

「菜穂と遊んだ帰りに溜まり場寄れ、明後日は学校まで迎えに行く、じゃあ」


カオルは一方的に伝えると、私の返事も待たずに電話を切った。

それに私は腹を立てる。

カオルと離れてから分かったことは、カオルは割と頻繁に会いたがるということだ。

それは別に嬉しいし構わないのだが、なぜかいつも急なのだ。

一週間前から会う約束をすればいいのに、突然明日会おうと言い出すのは勘弁して欲しい。

私にも用事があるのに。

それでも結局は会いに行ってしまうのが、カオルの策略にまんまと乗せられている気がして余計に腹が立つ。

私はベットから立ち上がると、机に置かれた教科書を開き、眠くなるまで勉強をした。

もう母に強制されることはないが、今は自分の将来の為に勉強をしている。

広い視野で見れるように、知識を持つことは無駄では無いはずだから。
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