再び、光が差す-again-〈下〉
「えっ、えっ?ど、どうしたの?」

「カイ?何で泣いてんの、え?」


急に泣き出す俺に、綺月達は慌てふためく。


「奈都、ティッシュ!ティッシュ!」

「え?どこ?」

「そこそこ、そこだよ」

「どこ!?」


何がどうなっているのか分からず、綺月は自分が泣かせてしまったのだと勘違いし、一世一代のやらかしをしたと言わんばかりの顔をする。

菜穂と奈都も綺月の言葉で泣いたと勘違いし、綺月を「言い過ぎだよ!」と小さな声で責めた。

何が何やらでてんやわんやしている時に、バイトを終えたカオルが当然のように帰宅してきた。


「…………どういう状況」


女三人がかりで喧嘩っ早い自分を泣かせている光景を見て、手に持っている荷物を床に落とす。

これは修羅場だと確信するカオルは、すぐにその場から立ち去ろうとする。


「待って待って、違う違う!
いや違うくは無いかもしれないけど!」

「…は?」

「なんて説明したらいいのか…」


綺月が弁解の言葉を考えているのか口をモゴモゴさせていると、またタイミング悪くドアが開き綺月の母親も帰宅する。

綺月の母親は、泣いている俺、それをあやす菜穂と奈都、帰ってきたばかりのカオルに慌てた顔で弁解しようとしている綺月の光景に、買ってきた食材をカオルと同様床に落とす。


「…綺月、何したの?」

「ち───が───う────!!!」


綺月は近所にも聞こえる大きい声で否定した。
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