再び、光が差す-again-〈下〉
人は誰だって間違えるし、生きていれば誰だって誰かを傷つける。

誰かを傷つけるから、優しさと正しさを知っていくのだと思う。

誰も傷つけずに幸せになれるなんて、そんな立派な人生があるはずない。

お姉ちゃんだってそう思っているはずだと私は信じたかった。


「良ければ、俺達が場を作ります」


カオルのその言葉に、私はゆっくりと顔を上げカオル達を見る。


「美月は家族を切り捨てれる奴じゃないんで」


そう告げるカオルの目はいつになく真っ直ぐで信用できる目だった。


「会った時からずっと美月は馬鹿みたいに情に厚くて、こんな俺を拾ってきて面倒見てくれるような優しい奴だ」


この中で何よりもお姉ちゃんを慕っている海斗が強く言った。

単純に娘を褒めてくれることが母は嬉しいのか、穏やかに笑ってお礼を言う。

出来れば一目顔を見たい、それだけでいい。

母はお姉ちゃんに強要をしないことを強く主張して、カオル達に託した。
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