再び、光が差す-again-〈下〉
あれから二週間が経った。

「美月のことは俺達に任せて綺月は受験に専念しろ」とカオルに言われて以来、一度も会っていない。

お姉ちゃんは母に会うことにしたのだろうか、もしかしたら上手く説得出来てないかもしれない。

そんなことをグルグルと考えながらも、私は机に向かってひたすら知識を頭に叩き込んでいた。

居候していた海斗はつい最近バイトを始め、給料が出たら出ていくことを条件に今も居座っている。

カオルと奈都はあのパーティー後、すぐに自分達の家に戻り、結局私の家に泊まったのは一日だけだった。

その日に私はカオルに教育大学を受けることを伝えると、


「応援してる」


その一言だけでそれ以上は何も言わなかった。

でもカオルにそう言って貰えるだけで頑張れると思った。


「そろそろ限界だ、会いたい!とか思わないの?」


昼休憩中に菜穂がサンドウィッチを食べながら、何日も会っていない私とカオルの付き合い方に口を出す。


「限界だっては思わないけど、普通に会いたいとは思うかな」

「なのに会わないのは何で?」

「お互い会いたいって言わないからじゃない?」

「付き合い初めの頃は頻繁に会ってたじゃん、綺月は平常運転だけどカオルはどうしたのよ」


菜穂が私達の距離感に心配しているのを他所に、私は綺麗に巻かれた卵焼きを口に運ぶ。
< 321 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop