再び、光が差す-again-〈下〉
「実は今病院にいて…」

「病院?どこか怪我したの?」

「そうじゃないの!そうじゃなくて、友達が怪我をしてそのお見舞いに行った帰りに友達のお母さんが倒れちゃって…」


母には雪希が襲われて入院して今も意識が戻らないことは一切伝えていない。

どこから話せばいいのかと説明がしどろもどろになる。

その時、病室のドアが開く。


「おばさんが説明するから、貸して頂戴」


今さっきまで眠っていた紀子さんが、まだおぼつかない足取りで私の前に立つと手を差し出した。

私は驚きながらも、気付くと携帯を紀子さんに渡していた。


「夜分遅くにすみません、藍沢雪希の母の紀子と言います…」


私のしどろもどろの口調に何も話していないのだと紀子さんは悟ったのか、私の代わりに順を追って分かりやすく説明してくれる。
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