再び、光が差す-again-〈下〉
暫くすると、紀子さんは私に携帯を返した。


「迎えに来てくれるそうよ」


携帯画面を見ると、母からの電話は既に切れていた。


「ごめんなさいね、綺月ちゃん。
おばさんのせいで夜遅くなっちゃって、でももう大丈夫だから、親御さんが来たらすぐに帰るのよ」


紀子さんはベットに座ると、息を吸って吐くをゆっくりと繰り返す。


「正直心配です、雪希のお見舞いは私達が毎日行っているので何かあったらすぐに連絡します。
だから少しでも休んで下さい」


私がお願いすると、紀子さんはすぐに首を振った。


「あの子がずっと帰って来ない家にいても、寂しくなるだけだから。
あの子に会いに行く時間を奪われたら、もっと苦しくなるわ」


でも、今のままだと身体も心も持たない。
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