再び、光が差す-again-〈下〉
「綺月ちゃん、心配してくれてありがとうね、でもごめんね、私は好きでやってるから」


まだ未成年の子供の私が出来ることなんて一つもない。

紀子さんのしたいことを否定する権利は私には勿論ない。

私は手の震えが止まらなくなり、ギュッと握る力を手に集中させる。

暫くすると、母が病室に現れた。


「綺月ちゃんのお母さんですね、この度は夜遅くにすみません」

「いえ、お加減はいかがですか?」

「えぇ、娘さんのおかげで大分楽になりました」


母と紀子さんは互いに挨拶をする。

キッチリした正装の服を身にまとい堂々と立っている母と、心も身体もボロボロな紀子さんは正に正反対で、更に紀子さんの心身が心配になった。
< 35 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop