再び、光が差す-again-〈下〉
「どうせ綺月ちゃん寝坊したんでしょ!」


高校受験の合格発表の日に寝坊したことを知っている奈都は、ズバリと言い当てて私は言葉が詰まる。

でもカオルはそんなわけないだろと否定した。


「合格発表の日に寝坊する抜けたアホはいねぇよ、な?」

「…あー、うん」

「え?マジで?」

「あははは〜」

「おい笑って誤魔化すなよ」

「それよりさ」


笑って誤魔化すも誤魔化しきれないと思った私は、あからさまに話を変える。


「今から合格のお祝いでお姉ちゃんと聡さんが家に来るんだけど、カオルも奈都と一緒に来ない?」

「行く」

「早っ」

「じゃあな」


今から私に会えるのだと分かった瞬間、カオルは一方的に電話を切った。

なんてせっかちなんだろうと、私は呆れたように息を吐いた。
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