再び、光が差す-again-〈下〉
「こんなに作ったの?」
「昨日から仕込んでた」
「落ちてたらどうする気だったの?」
腕によりをかけた母の手料理を見て、私は突っ込んだ。
「落ちないわよ、頑張ってたんだから」
真っ直ぐな目で言う母は、昔に比べると目を疑うほどに穏やかになっていた。
あれから母は日に日に強い女性の仮面が剥がれていってる気がする。
「食べようか」
母の声に、各々が料理を囲むように椅子に座る。
5つしか無かった椅子は、気付けば新しい椅子が増えていた。
必要最低限しか置かなかった物が日に日に増えていってる気がして、私は嬉しかった。
やっとこの家にも温もりが感じられるようになって、止まっていた時間も息をしない家具も、今では全てが生きているかのように暖かった。
母の料理はいつも温かくて、昔のあの冷たくなった料理の味を忘れてしまうほどだった。
一瞬一瞬の幸せを噛み締めながら、私は自分の人生を生きていた。
どれもこれも全て愛しい時間だった。
あの辛かった過去が消えるわけでも、傷がすぐに塞がる訳でも無い。
だけど、あの時間があったから大事なものに気づけた。
今の私は、勉強に母に縛られた時間も、この愛しい時間も、全て私だけのものなんだと強く思っていた。
「昨日から仕込んでた」
「落ちてたらどうする気だったの?」
腕によりをかけた母の手料理を見て、私は突っ込んだ。
「落ちないわよ、頑張ってたんだから」
真っ直ぐな目で言う母は、昔に比べると目を疑うほどに穏やかになっていた。
あれから母は日に日に強い女性の仮面が剥がれていってる気がする。
「食べようか」
母の声に、各々が料理を囲むように椅子に座る。
5つしか無かった椅子は、気付けば新しい椅子が増えていた。
必要最低限しか置かなかった物が日に日に増えていってる気がして、私は嬉しかった。
やっとこの家にも温もりが感じられるようになって、止まっていた時間も息をしない家具も、今では全てが生きているかのように暖かった。
母の料理はいつも温かくて、昔のあの冷たくなった料理の味を忘れてしまうほどだった。
一瞬一瞬の幸せを噛み締めながら、私は自分の人生を生きていた。
どれもこれも全て愛しい時間だった。
あの辛かった過去が消えるわけでも、傷がすぐに塞がる訳でも無い。
だけど、あの時間があったから大事なものに気づけた。
今の私は、勉強に母に縛られた時間も、この愛しい時間も、全て私だけのものなんだと強く思っていた。