再び、光が差す-again-〈下〉
「良ければこれを、大したものではなくて申し訳ないのですが」


何やら母は大きめの紙袋を紀子さんに渡す。


「これは?」

「お口に合うか分かりませんが、少しでも何かを口にして下さい」


私は紙袋の中身を覗き込むと、母が作ったであろう何種類ものおかずがタッパーに詰められていた。

多分今日の夕飯の残り物と、栄養を考え新たに作ったであろう主菜や副菜が主な中身だろう。


「息子さんが目を覚ました時、心配なさらないようにちゃんと食べて下さい」

「すみません、ありがとうございます」


紀子さんは目に涙を浮かべ、母に何度も頭を下げた。

母がまさか誰かにこんなことをするとは思わず、正直驚いた。
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