再び、光が差す-again-〈下〉
「あなたは優しいから弱っている人にすぐに気付ける。
だからその人の側で、いつも通りの顔で笑って他愛のない話をして一緒にいなさい」


母が私のことを"優しい"というのはこれで二回目だ。

他の人に言われるよりも、何倍も嬉しいのは母親だからだろうか。


「あなたに今できることはそれくらいよ」


母はそう吐き捨てると、私を置いて車に乗り込んだ。

何も出来ないのだとキッパリ切られたかと思えば、助言してみたり、やっぱり難しい人だと私はため息が漏れる。

私は母に言われたその言葉の意味をちゃんと受け止めて、心の中に大事にしまった。
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