再び、光が差す-again-〈下〉
その日から私は出来るだけ、みんなのことを考えるようにした。

出来ることは何かないだろうかと考えて、何も出来ないことに打ちのめされて、勝手に凹んでの繰り返しはもう飽き飽きだ。

今はみんなのことをよく見て、よく考えよう。


「こんばんは、紀子さん」

「綺月ちゃん、菜穂ちゃん…」


毎日雪希の顔を見に来る紀子さんは、いつも決まって面会時間ギリギリに顔を出していた。

仕事を終えての時間だと、夜遅くになってしまうのだろう。

私と菜穂は紀子さんを待ち伏せするように、ギリギリまで病室に居座った。


「どうしたの?こんな遅くまで」

「紀子さんのこと待ってました」


そう言うと、また大きめの紙袋を手渡しする。


「母が持っていきなさいって」


紙袋の中身は前回と同様、母が作ったおかずが入っていた。
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