再び、光が差す-again-〈下〉
「綺月のおかげで随分カオルが丸くなったよ、この前久しぶりに会って驚いた」

「いやー俺も驚いたなぁ、アイツ俺がいじったら必ず殴りかかってくるのに、この前なんて鼻で笑われたわ」

「一喜のいじりは中学生レベルよ、それは鼻で笑われて当然だから」

「それに殴りかかってきてた昔のアイツも中学生だったんだな」

「そういうこと言ってるんじゃないんだけど!」


お姉ちゃんと一喜さんが仲良く言い合いをはじめ、私と菜穂が置いてけぼりになっていると、聡さんがわざとらしく咳払いをする。


「本題に入るからお前ら一旦黙れ」

「元を辿れば聡が話し始めたんじゃん」

「広げたのは一喜だろ」

「更に広げたのは美月だからな!」


今度は聡さんも加わり言い合いがヒートアップしそうになるのを、菜穂がパン!と手を叩き黙らせる。


「話がズレてます」


早く本題に入ってくれと菜穂が目で訴えると、三人は申し訳ない顔をして口を閉じる。
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