再び、光が差す-again-〈下〉
「それなら一緒に勉強すればいいじゃん」

「本当!?…あ、いやダメダメ、お兄にまた文句言われる」

「…文句?」

「綺月を独り占めするな、って」


奈都はカオルの真似をしながら言う。

どちらかと言うと、カオルといる時間の方が多い気がする。

奈都も私と同じことを思っているのか、呆れたような顔をしていた。


「じゃあまたね」

「うん、バイバイ!」


学校に着くと、靴箱で奈都と別れ自分の教室に向かう。

有名な進学校であるこの高校は、三学年に上がっただけで、より一層空気がピリピリするようになった。

みんなが狙う場所は難関の有名大学。

成績トップを維持し続けている私は、教師に薦められた難関大学を受けるか決めかねていた。

自分のやりたい事に、その大学は合っているのか。

三年生になってから、進路について私は一層悩むようになった。
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