再び、光が差す-again-〈下〉
ずっと三人はその話を言いにくそうにしていた。

なかなか本題に入れなかったのは、ただ杏樹という人物が聡さん達にとって敵では無かったからだ。

でもこうして疑うことを口にすると、何も知らない私からすれば杏樹は敵で悪となってしまう。

そう思われるのが嫌なのだと、私は勘づく。


「昔の仲間を疑うほどのことなら、ちゃんと証拠があるんじゃないんですか?」


私が核心に触れていく。

その度に三人の顔が曇る。


「確証は無いって言ったけど、ただ疑いたくないだけじゃないんですか?」

「綺月…」

「雪希下手したら死んでたかもしれないのに、杏樹という人の味方につくんですか?」

「別に味方についてるわけじゃ…!」

「だったらその顔やめてください!
杏樹に肩入れするような顔するのやめてください」
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