再び、光が差す-again-〈下〉
その頃、カオル達は雪希のお見舞いに来ていた。

雪希の病室は人で溢れ返っていると菜穂から聞いていたが、昼前になるともう数人しかいなかった。

騒いでいると看護師に怒られたそうで、静かな場所は不釣り合いだと言い、すぐにみんな退散して行ったそうだ。


「雨、降ってきたな」


窓ガラスを突然雨が叩き始めるのを見て、カオルが呟く。


「それで、お前を襲ったのは誰なんだよ」


海斗が早く言えと雪希を急かす。


「顔は見てない、気付いたら後ろから殴られたから。でも声は聞いた、俺の知る限りでは聞いたことの無い声だった」

「それだと分かんないね」


雪希が襲われてからずっと苛立っている幸人が、自分を落ち着かせるように息を吸って吐いた。
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