再び、光が差す-again-〈下〉
みんなが進路をある程度決めていく中でも、私の親友の菜穂だけが浮いていた。


「おはよう、菜穂」

「うん、おはよ」


教室に着くと、菜穂は大きめのおにぎりを黙々と食べていた。


「朝ご飯食べる時間無かったの?」

「うん、夜遅くまでゲームしてたら普通に寝坊した」


菜穂は笑いながら、またおにぎりを頬張る。

進級できるかできないかの瀬戸際に立たされて苦労したくせにと私は呆れる。


「あ、そうだ、今日遊んだ後溜まり場寄っていいかな?」

「ん?いいけど、カオルに会いに行くの?」

「明日も会うのになぜか来いって言われて」

「愛されてんね〜」


菜穂は甘ったるい顔をしながら、最後の一口を頬張った。

そこでタイミングよく予鈴が鳴り、私は自分の席に座る。

席に着いた瞬間、何かに取り憑かれたように私は勉強に全神経を注ぐ。

教師が囁く程度の情報も全てメモを取っていく。

奈都の家庭教師をやるようになってから、勉強の見え方が変わった私はより一層打ち込むようになった。

この前菜穂に勉強してる時の目が狩りしている時の目みたいだと笑われるくらいだ。

何も持っていないとあんなに嘆いていた自分が嘘のように自信に満ち溢れていた。

勉強だけは頑張れば自分のものに出来るのだと、奈都が合格して証明してくれたおかげで胸を張れるようになった。

全てが良い方向に少しずつ進んでいる。

そう感じるだけで、私は救われた。
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