再び、光が差す-again-〈下〉
「カオル…!」

「アイツじゃない、アイツがそんなことする訳ねぇんだよ!」


まるでそう言い聞かせているように、珍しく私に向かって声を荒らげた。

聡さん達が杏樹に肩入れしていることに嫌悪感を抱いたが、カオルも聡さんと同じ意見を持っていた。

それに更に吐き気がした。


「雪希、死にかけたんだよ?
それなのに、どうして庇おうとするの?」


そもそも今思い返せば、仲間思いのAgainが雪希が襲われた時点で犯人探しをし、喧嘩でもしに行くかと思っていたのに、そういう行動は一切見られなかった。

ただみんな心配の声を囁くだけで、あまり頻繁にお見舞いにも来なかった。

多分聡さんが言わなくても、Againメンバーはほとんど気付いている。

杏樹という男の仕業だと。
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