再び、光が差す-again-〈下〉
「杏樹は俺達にとって、大事なんだよ。
少しでも白だったら、俺達は杏樹を咎められない」


怒りよりも、哀しみの方が強かった。

あれだけ雪希を失うかもしれないと恐怖を抱いていたカオルが、こうも簡単に杏樹を庇うのかと裏切られた気分になる。

彼らにとって杏樹がどういう男で、どんな人だったのか知る由もない。知りたくもない。


「もし雪希が目の前から消えてしまっても同じことが言える?
今度はAgainメンバーの誰かがまた狙われても同じことが言える?ずっと庇えるの?」


責めるように問いただすとカオルは言葉を詰まらせる。

私は力の限りカオルを押し退けた。

決して自分から距離を取るのではなく、自分が拒絶することで私にはカオルの気持ちは分からないという心の声に気付かせるために。


「ガッカリだよ、カオル」

「待てよ、どこ行くんだ」

「カオルだったら聡さんの言ったことは間違っていると言ってくれると思った。
だってカオルは雪希の仲間だから」


私は掴まれた手を思いっきり振り払う。
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