再び、光が差す-again-〈下〉
全授業を終えると、菜穂と放課後に街でブラブラしたり、美味しいものを食べてお腹を満たしていく。


「綺月綺月!これ美味しいよ!」

「じゃあ分けっこしよう!」

「いいね!」


菜穂とこうして遊ぶようになってから、初めてなものに触れる機会が多くなった。

初めてカラオケに行って人前で歌ったり、今流行りの飲み物や食べ物でお腹を満たしたり、新鮮で楽しくて毎日が幸せだ。

でも、三年生になった私達にはもう遊んでいられるほどの時間はこれから無くなるだろう。

私は、口いっぱいに食べ物を頬張る菜穂にずっと気になっていたことを口にする。


「菜穂は進路どうするの?」


そう聞くと、菜穂はゴクリと飲み込み胃に押し込む。


「…私は美容師になろうかなって思ってる」


菜穂はまだ悩んでいるのか曖昧な言い方をする。


「正直、また死に物狂いで勉強するのは高校受験で懲りちゃったし、私みたいな馬鹿がこんな有名進学校に入れただけでも満足してるから」

「…そっか」
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