再び、光が差す-again-〈下〉
菜穂が勢いよくドアを開けると、まだ目が覚めて五日も経っていない雪希が狭い空間でスクワットをしていた。


「回復力異常でしょ…」


雪希は頭にぐるぐる巻きにされていた包帯が取られ、ガーゼで貼られている程度の処置に変わっていた。


「おー!なんだ来てたのか!」


雪希は私達に気付くと、スクワットをやめテーブルにあった水を飲む。


「引くぐらい元気だね」

「すぐにでも退院出来るつってんだけど、医者がもうちょい様子見てからって言うんだよな」


つい最近まで生死を彷徨っていたとは思えないほどの元気さに私と菜穂は顔を見合わせて笑った。


「そんで、今日はどうかしたのか?」


お見舞いに行くと言わずに来た私達を見て、何か他に用事があって来たんだろうと雪希は悟る。
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