再び、光が差す-again-〈下〉

彼女のその言葉に菜穂があからさまに舌打ちをする。

舌打ちの音に、彼女はゆっくりと菜穂を視界に入れると、見下ろすような目つきで菜穂を見る。


「菜穂ちゃんも久しぶり」

「…お久しぶりです」

「その制服って結構難関校よね？
凄いわ、幸人のおかげかしら」


彼女の嫌味っぽい言い方に、すぐに菜穂の顔が引き攣る。

そして、彼女はそのまま隣にいた私に視線を向ける。

足のつま先から頭のてっぺんまで隈無く見てから、やっと私の顔を見る。


「あなたは、はじめましてよね？」

「はい、はじめまして、一條綺月です」


見下ろされることが気に食わない私は、立ち上がり自己紹介をする。


「私は幸人の彼女の一之瀬桜(いちのせ さくら)。
よろしくね、綺月ちゃん」


桜さんはお手本みたいな笑顔を向けて、さほど変わっていないのに癖なのかまた髪の毛を耳にかけ直した。