再び、光が差す-again-〈下〉
暫くしてやっと泣き止むと菜穂は私から離れる。


「ごめん、服は洗濯して返す」


そう言われ、肩周りを見ると涙と鼻水で濡れていた。


「菜穂、そこのベンチに座ってて」


私は病院内の庭に設置されているベンチを指差すと、菜穂は小さく頷いてトボトボと力無く歩いて向かう。

大丈夫かなと不安になりながら、私は急いで病院内の売店で飲み物を買ってから菜穂の元へ走る。


「お待たせ、菜穂。
思いっきり泣いたから喉乾いてるでしょ?」


私は菜穂に水を渡すと、お礼を言って受け取る。


「炭酸が良かった」

「図々しいな」

「うそうそ、ありがとう」


菜穂は文句を言いながらも、水を一気にペットボトルの半分以上も飲み干した。
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