再び、光が差す-again-〈下〉
「良い飲みっぷりだね」

「飲まなきゃやってらんないよ」

「ただの水だけどね」

「こういう時に大人は酒を飲むんだろうね」


大人は逃げ道があるからいいよなと、流れる雲を見ながら二人して物思いにふける。

そして暫く空を眺めていると、菜穂から沈黙を破る。


「ユキさ、有名な食品会社の社長の息子なの」

「えっ?」

「幼稚園からずっと良いとこの学校通ってるお坊ちゃんなんだよね」


初耳すぎる内容に私は驚いた口が閉じない。

確かにAgainメンバーの中では勉強も出来るし、真面目に大学も通っているし、良い意味で幸人は浮いていた。

それがまさか、良いとこのお坊ちゃんだったなんて。


「それでユキが小さい頃、親同士がノリで決めた許嫁が桜さんなんだよね。
親同士が仲良くて、幼馴染だったから」


許嫁とか生きている地位が違いすぎて、私はもう何も言えなくなる。
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