再び、光が差す-again-〈下〉
「杏樹さんのことが気に食わないのは分かるけどさ、連絡も無視するのはさすがに可哀想だよ」

「なんか無視する期間が長すぎて連絡返すタイミングが分からなくなっちゃって…」

「そんな悩んでいる暇あるなら返せばいいじゃん!これだから恋愛初心者は…」

「だって許したわけじゃないのに、連絡して許したって思われるのがなんかムカつくっていうか」


失恋した親友に今こういう悩みを言うのは、あまりにも酷ではないかと話を変えようとするが、菜穂は気にしていないのか「恋愛はね…」と何故か語り始めた。

それを私は担任が来るまで聞いていた。

菜穂の長い講義を終えて、私は意を決してカオルにメッセージを送った。

多分バイトなんだろう、すぐには返信は返ってこなかった。

それは今日一日の全授業を終えてもカオルから返信が返って来る様子は無かった。

長い間無視していたのに、送ったら送ったで何度も携帯を確認している自分が恥ずかしくなって携帯をカバンの奥底にしまい放課後を迎える。
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