再び、光が差す-again-〈下〉
「ねぇ、その傘なに?」


家を出る前に、持って行くかどうか悩んで結局持って行くことにした、いつかの日に貰ったビニール傘を菜穂が指差した。


「あー、これ貰ったの」

「え?誰から?」

「…通りすがりの男」

「ゲェ、通りすがりの男にビニール傘貰ってまだ持ってんの?てかなんで持ってきてんの?」


菜穂はあからさまに嫌な顔をする。


「…返そうと思って」

「本気で言ってる?
たかがコンビニで買えるようなビニール傘を律儀に返す人なんていないよ、親の形見じゃない限り」

「親の形見かもしれないじゃん」

「親の形見を通りすがりの人にあげる馬鹿はいません!」


それは確かにそうだ。

でも、返したいと思ったんだよなぁ。
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