再び、光が差す-again-〈下〉
「予定狂うけど、知ってんならしょうがねぇか」


男は意味の分からない言葉を口にする。

全身から嫌な汗が出てきて、私は咄嗟に逃げようと足を引いた瞬間、後ろから男に腕で首を絞められる。

息が出来なくて、私は必死で藻掻く。

菜穂が傘を武器にして向かってくる姿を見ながら、薄れゆく視界の中、男の甘い香水の匂いが鼻を掠める。

そこで、雪希の言葉を思い出す。


───杏樹さん昔から甘ったるい香水付けるんだよ


もしかして、この男は……

そこで私の意識が飛んだ。

< 98 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop