きみがすき


「っじゃあ!私に頂戴よ!」


「ハル…やめて」


「ひかりが追いかけないなら私が行くからっ…私に薫頂戴よ!」


今にも突っ掛かってきそうなハルを友紀が優しく抱きしめる。


ハル…泣いてるの?



「私―…薫が好きだったよっ」


「ハルっ」


「なのに、あいつは幼なじみのひかりしか見てないし。ひかりだって!好きなくせに気付いてなくてムカついた!」


友紀はハルの気持ちを知ってたんだね?俯いてるってことはそうでしょ?


「ひかりがそんなだから私だって前に進めないんじゃない…!頂戴よ…っ」


ハルの目に溜まっていく涙が今にも溢れそう。


でもハル、ごめんね。


「あ、あげないっ…!」


薫だけは…譲りたくないの。
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