きみがすき
―――シャー…
薫の自転車の後ろに乗せてもらい、坂を下る。
風が程よく気持ちいい。
「ねぇねぇ…薫ー?」
「んー?」
「…好きってさ、なんだろうねー」
前を向いたままの薫にさりげなく聞いてみた。
今日一日考えてもわからなかった問題。
薫は
「…誰かを大切に思う気持ちじゃねーの?」
って、自分にも大切な子がいると言うように答えた。
その言葉に吊られたのか
「好きな子…いるの?」
ポロっと聞いてしまった。
一瞬の間を置いて返ってきた返事は―…
「いるよ」
薫の言った一言が
あたしの胸に刺さった気がした。
―チクチクする。
―なんなんだ?
今の感覚…。