きみがすき
帰り道
沈黙が続いた……。
こういう雰囲気って嫌い。
空気がこう…重いっていうか…なんていうか。
とにかく嫌い。
そして、沈黙を破ったのは薫だった。
「お前さ、」
「な、に…」
「朝なんで先に行ったんだよ」
ギク―…
ど、どうしよう。
胸がチクチクして薫に会いたくなかったからだなんて言えないよ。
「俺のこと避けてる?」
避けてはないけど…
朝のは避けた分類に入るのか?
気持ちがわからないまま、私は普通を装った。
「そんなことないよ。
朝はハルと友紀と早く来るって約束してたから」
こんな嘘、薫に通じるのか?
「…ふーん。ならいいけど。それよりー…」
嘘を信じた彼にホッとしたのもつかの間。
薫からとんでもない事を言われた。
―ねぇ…
どうして?
「今日、三組の沖野美砂?って子に告られてさ、付き合うことにしたから」
「…え…」
沖野って誰?
薫は面識あるの?
「以外と可愛い子でさ。
OKしちゃった」
てゆうか、そんなあっさり引き受ける奴だったっけ?
好きな人、いるって言ってたじゃん。