メイク

ただ叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。

叫び散らかす。

もう嫌だ。永璃がいない。永璃に会えない。


そこからの記憶はない。まったくない。

気がついたら病院で、気がついたら目の前に永璃がいて

真っ白くなった、愛おしい永璃。

冷たい永璃。

「依冬、死化粧はお前がやりなさい。」

父さんの言葉で我に返る。

初メイクが、死化粧。

なんて残酷なんだろう。
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