青春恋日記
5月23日
今日、突然陽輝に呼び出されて、陽輝の家に行った。何事かと思って行ってみると赤い目をした陽輝がいて震えた声で、「彼女に振られた。他に好きな人ができたって」と言われた。そのまま僕に抱きついて泣きじゃくっていた。そんな陽輝を見ていると何故か胸がチクリと傷んだ。きっととても悲しそうなはるをみて同情心が湧いたのだろう。
でも家に帰った後も胸のモヤモヤした感じは消えなかった...

8月16日
今日はお盆休み明け初めての部活だった。炎天下の中で練習していると、顔が火照って身体中が痛くなってきた。近くにいた陽輝に相談すると、「一緒に行こうか?」と言ってくれた。僕がだまってうなずくと、陽輝が急に少し屈んで僕の背中と膝に手を回して持ち上げた。あっという間にお姫様抱っこされてビックリしたが、「え!?いいよ、重いでしょ?歩けるから!」と言うと、「体中痛いんだろ?俊、軽いから全然大丈夫!」と笑顔で言ってくれた。日光のせいか、その笑顔がとても輝いていて、まるで王子様みたいだなぁと思った。顔の火照りと身体中の痛みに加えて動悸もしてきた。
先生のところ行くと陽輝が事情を説明してくれて、少し休憩することになった。しばらくして体調が戻り、先生に戻りますと伝えると「城本がすごく心配してたからお礼言っとけよ」と言われた。心配してくれてたと思うととても嬉しくなった。

8月17日
今日の部活は全然集中出来なかった。なぜなら陽輝のことを意識してしまったからだ。昨日、陽輝が王子様に見えてから、僕は陽輝のことが好きになったようだ。いや、意識しないようにしていただけで本当は、初めて会った日から一目惚れしてたのかもしれない。男が男のことを好きになるなんてと思ったけど、陽輝を見るたびにやっぱり好きだと感じて胸がドキドキする。今日、話しかけられた時にすごく動揺してしまって変な風に思われてないといいな...

9月18日 (土)
今日から1泊2日で八ヶ岳に合宿だった。
長坂総合スポーツ公園という所で特別コーチに教えてもらった。練習はキツかったけど、楽しかった。
お風呂から上がって体を拭いてたら、急に頭を触られて
「すげー!w もう髪かわいてる。俺も坊主にしようかな」
と言われた。びっくりして見てると陽輝がビショビショの体のまま僕の頭を撫でてた。すっごくドキドキしたけど何とか平静を装った。
「わっ!びっくりしたー。陽輝今上がったの?」
「うん。坊主の俊と違って髪長いからな。洗う時間がw」
しまった。もしかしてお風呂の時間長いってからかってるように聞こえたかな...。嫌われた...?とか1人で反省会をしてると、
「いやー風呂上がりの坊主も最高だな」
と言って頭に抱きつかれた。
「身長差も絶妙で抱きつきやすいし... いっそ一緒に住もうぜ?」
地震かと思うくらい心臓がバクバクした。陽輝の手がビショビショだから水滴が顔にたれてきてるし、耳元に陽輝の口があるし、2人とも服きてないから体が密着してるし、いやそんなことより今『一緒に住もうぜ』って言った?嘘だろ?え? とか思ってたら
「おーい城本!小泉に絡んでないで早く服着ろ〜。次1年が入るんだからな〜」
という先生の声で陽輝がいなくなってしまった。先生が余計なこと言わなければもうちょっとああしてくれてたのになぁ...
お風呂上がりに部屋に戻ると隣の部屋の陽輝と拓馬が来てた。陽輝は僕を見ると
「おー!俊待ってたよー?」
と言ってまた抱きついてきてくれた。部屋着に着替えた陽輝の身体から香る石鹸のいい匂いに包まれて安心感と動悸がヤバかった。でも勇気を出して
「はるき〜 隣の部屋だったよね? 来てくれたの?」
と言って抱きしめ返してみた。陽輝は
「うん!みんなでUNOしようぜって話してたとこ!」
と笑ってくれた。

9月19日 (日)
今日は合宿最終日だったから、荷物をまとめて2時間くらい練習したら帰ることになってた。
練習後、美しの森のお土産屋さんでお土産を選んでいると、陽輝と拓馬が
「ねぇ陽輝このストラップ一緒に買わない?」
「えっ?w これカップルが買うやつじゃないの?」
「いーじゃん!」
という会話をしているのが聞こえた。ビックリしてそのまま盗み聞きしてると近くにいた孝太が会話に混ざった。
「陽輝がいやなら俺と買おーぜ。た・く・ま♡」
「きもっ」
「え?なんか俺取り残されてる?」
って陽輝が言ってたので勇気をだして
「じゃた陽輝は僕と買おう?」
と言ってみたら
「おーー! マジか俊最高」
と言ってくれた。そして、そのストラップを陽輝と買えた!
帰りのバスでは、なんと陽輝と席が隣だった!陽輝は疲れてたらしく寝てしまっていた。寝顔も可愛いな〜とか考えてたら僕の方に陽輝が倒れてきた。その後学校近くの駅に着くまでずっとその状態でとても幸せだった。駅着いて陽輝を起こすと、すごく眠そうにしてて寝ぼけてるのか
「うぅ...まだ眠い...」
と言って僕の肩におでこを擦り付けていた。形容しがたいレベルの可愛さだ。1人で脳内で悶えてると、我に返った陽輝が
「!? え?しゅん?え?え?なんか... ごめん?」
とオドオドしてたのも可愛いかった。陽輝は天使なのかな?僕は心臓を撃ち抜かれた。

10月14日 (月)
今日は合唱コンのリハーサルだった。陽輝は指揮者だった。滑らかな手の動きや、膝まで使った丁寧な指揮に意識を引き込まれて、惚れ直した。1組の歌の最初から最後まで陽輝から目が話せなかった。可愛くて、かっこよくて、美しかった。指揮が終わって陽輝がこちら側を向いた時にいつも見てる顔なのに別人みたいだと思った。いつもの子犬みたいな可愛さはなくて凛としてて紳士みたいだった。そのまま退場するまで陽輝を目でおっていると目が合った。そしたら陽輝は笑って手を振ってくれた。さっきの凛とした感じとは真逆のいつも通りの子犬みたいな陽輝でギャップにやられた。僕はその場でフリーズしてしまい、その後の部活で陽輝に「なんで手振り返してくれなかったの?」と聞かれてしまった...

11月26日 (金)
今日孝太に陽輝のことを相談した。男同士だから何か言われたり嫌われたりしたらと思ったらすごく怖かったけど、すんなり受け入れてくれた。孝太は親指を立てて笑顔で
「いーじゃん!俺、俊の事応援してるね!」
と言ってくれた。
「本当?気持ち悪くないの?」
と聞いたら
「全然!それより俊の事だから結構悩んだんだろ?相談してくれてありがとな」
と言ってくれて、やっぱり孝太は1番の親友だと思った。
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