プレゼントは君がいい
「やっぱり、辞めた方がいいのかな……」
だんだん、考えるうちに自分でもわからなくなる。
それがいつしか日常に消え、また繰り返される毎日。
そこから抜け出すには、大きな力だ必要だった。
「そんな疲れたあなたに、再就職先を提案なのですが」
うつむき加減だった視界に、すっと差し出された小さな箱。
「僕が頑張るので、ひとまず苗字を変えませんか」
顔を上げると、穏やかな表情の彼がいた。
「残業無し、衣食住保証付き、今ならお昼寝付き」
「えっ」
「僕と結婚してくれませんか」
何が起きているのかわからない。
目の前に置かれた箱の中には、キラキラと輝くそれがある。
ドラマでしか見たことないような、小さな指輪。