キミの恋のはじまりは
顔が熱くなっていくのが自分でもわかって、泉から隠したくて顔を背ける。

なのに、頬を両手で包まれて、簡単に捕まってまた対面させられてしまった。



「あ、あの、いずっ」



口をぱくぱく動かして、うまく言葉が出ない私を、泉は真っ直ぐにじっと見つめている。

あまりに深い眼差しが恥ずかしくて、心臓がうるさすぎて、その瞳の中に映る自分を見つければ、逃げ出したくなった。

私の頬を掴む泉の手を剥がそうと自分の手を重ねたけれど、びくともしない。

それでも諦めず、目を逸らしながら、ぐいぐいと手に力を込めていると、急に空気が緩んで泉の笑い声が降ってきた。



「はは、顔、真っ赤じゃん」



反射的に上向けば、泉がおかしそうに肩を揺らしていた。



「い、泉のせい!」


私の苦情なんてまるで耳に入っていないように、泉は嬉しそうに目を細めている。

まだ私の心臓は息も絶え絶えだというのに、泉はもういつもの余裕のたっぷりな顔をしているから、悔しい。



「そ。俺のせい」

「……な、なんで嬉しそうなの?」

「だって、俺の言ってること、ちゃんとわかったってことじゃん?幼なじみの好きとは違うって伝わったから、ほっとした」



目尻を下げて微笑む泉に、きゅっと心臓が鳴った。

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