キミの恋のはじまりは
「……勘違いとかあるわけないよ。勘違いする余裕ないぐらい、初めて会った時から莉世しかいないんだから」



そうだ、初めて会った時から。
親の背中に隠れながら見た泉の明るい笑顔にドキドキしてたんだ。



「……ズルいのは俺だよ。どうしても莉世を離したくなくて」



一緒にいると心がくすぐったくて。
繋いだ手を離したくなくて。
そばにいてほしくて……。

なのに、素直にそばにいることができなくなって……。



「これからも、離してあげられないから…」



巡る想いが心の中に充満する。
あの頃より大人びた目の前のその人にやっぱり鼓動が高鳴って、苦しいのに、離れたくない。



「莉世」



これからも何度だって名前を読んで欲しくって、もう止められない。



「ごめん。もう諦めて、俺にしてくれない?」



胸の奥から湧き上がる痺れるような感覚がして、熱が溢れて胸がいっぱいになる。

抱えきれない想いを手のひらにのせて、私の頬にある泉の手に、手を重ねてぎゅっと握った。


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