キミの恋のはじまりは
「……やっとつかまえた」
大好きな声にそっと見上げると、潤んだ熱い目をした泉に出会う。
見つめ返せば、もう隠さなくてもいい想いが降り積もる。
「……もう離してあげられないから」
甘い声が鼓膜を伝って、心に届けば胸が高鳴った。
泉の前髪がさらりと揺れて、長いまつげがゆっくりと伏せられていく。
「一生覚悟して」
心を震わす囁きとともに、優しく唇が重なる。
そっと触れただけの熱はすぐに離れていくから、追いかけるように瞼を持ち上げると
「……大好きだよ、莉世」
目を細めてふわりと微笑む泉。
そんな彼を見れば自然に気持ちがゆるんで、その胸の中に頬を寄せた。
私の髪を撫でた泉が愛しさを吐き出すように「莉世も、もいっかい言って?」と私の言葉をせがむ。
「…………私も、大好き」
蕩けるようにくしゃりと笑った泉に吸い寄せられるように近づけば、再び唇が合わさる。
さっきより少し長いキスから感じるたくさんの想いに、私の全部が泉でいっぱいになっていった。