キミの恋のはじまりは
episode 2
玄関のドアノブに手をかけて、一呼吸する。
お姉ちゃんもういるかな……。
最後に会ったのは、今年のお正月だから……もう半年以上会ってないんだ……。
今までそんなに帰ってこないことなんてなかったのに。私に気を使っているのかな。
そう思えば、ますます家に入るのに勇気がいる。
お姉ちゃんは24歳の社会人で、都内で一人暮らしをしている。
美人でさっぱりとした性格だけど、とても優しいお姉ちゃんが小さい頃から大好きだった。
お姉ちゃんが大学を卒業して、就職した会社の近くで一人暮らしを始めたときは、本当に寂しくて毎晩電話しちゃったほどだ。
そんなだったのに、今の私はどうしてこんななんだろう。
「お姉ちゃんおかえり!会いたかったよー!」っていつも通り言えばいいだけなのに、うまく言えるか自信がない。
会いたくないとさえ思ってしまう。
お姉ちゃんは何も悪くない。
悪いのは私だ。
こんな重々しい気持ちを持ってしまう自分を許せない。