キミの恋のはじまりは


正面に向き直れば、玄関から飛び出してきたその人に力いっぱい抱きしめられて「ぐえっ」と変な声が出た。



「会いたかったよー!元気だった?あっ!眼鏡やめたの!?コンタクトにしたんだ!かわいすぎるよー!断然こっちの方がいいよ!あれっ!背伸びた!?髪もずいぶん伸びたね!!雰囲気かわったよーーー!!!」

「ちょっ……お姉ちゃ……」

「ちょっと会わないと急に大人になっちゃうんだから!!莉世ちゃんーーーーー!!!」



久しぶりのお姉ちゃんの温もりに、ふっと目頭が熱くなる。


……変わらない、お姉ちゃんだ。


大好きなお姉ちゃんだ。


お姉ちゃんの背中に手を回してきゅっと抱きしめ返せば、ぴくりとお姉ちゃんの背中が揺れた。

それを確かめたかのように、さらにきつく抱きしめられて、やっとわかった。

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