キミの恋のはじまりは
お姉ちゃんと2人で「えへへ」と照れ笑いをしていると、後ろから頭をぽんぽんとされた。
「じゃぁ、俺帰るわ」
泉はお姉ちゃんには「友莉さん、おかえりなさい」とぺこりと頭を下げた。
「……泉、ありがとね」
心配させてごめんね、は口には出せなかった。
帰っていく泉の背中に小さく手を振る。
今日は泉に助けられてばっかりだったなぁ……。
「……泉くん、やさしいね」
泉のいなくなった先をぼんやりと見ていた私の横で、お姉ちゃんがくすくすと笑っている。
「えー?そう?」
「転びそうな莉世ちゃんのこと抱きとめてたし、頭ぽんぽんしてたし」
そんなこと言われたら、いまさら泉の体温を思い出して顔に熱が集まってきてしまう。
私なんて泉の腕の中にすっぽり収まっちゃってたじゃん……。
はっ!いやいやいや……。
しっかりしろ私。泉は泉なんだから、べつに赤面するようなことじゃない。
でも、やっぱり恥ずかしくて思わず両手で顔を隠した。