キミの恋のはじまりは
そんな私を面白がるようなお姉ちゃんの声がする。
「うわー、莉世ちゃん顔真っ赤だよ」
「もう!お姉ちゃんが変なこというからでしょ!」
「ふふふ、かわいいなー」
「ほんとやめてよね!」
どんどん顔が熱くなってくるから、もうどうしたらいいかわからない。
顔を隠していた手を恐る恐るずらして、唇を噛み締めてお姉ちゃん睨んだ。
お姉ちゃんは小さな子どもをあやすように「ごめんごめん」と言ったけれど、全然悪いとは思っていなそうな口ぶりだ。
「……っ、もう家に入ろう!」
「はいはい」
お姉ちゃんの横を通り抜け、先に家の中に急ぐ。
今日は泉だけじゃなく、なんか私も変だな……。
顔のほてりが引くまでにはまだ時間がかかりそうだった。